コラム

画像生成AIとクリエイターは共存できる? 議論のポイントと、使う側が守りたい7つのマナー

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文章で指示するだけで、プロのようなイラストや写真風の画像がつくれる。画像生成AIの登場で、絵を描いたことがない人でも、自分のイメージを形にできるようになりました。ブログのアイキャッチ画像、SNSのアイコン、プレゼン資料の挿絵など、使い道はどんどん広がっています。

一方で、イラストレーターや写真家、デザイナーなどのクリエイターからは、不安や反発の声も上がっています。画像生成AIとクリエイターは、共存できるのでしょうか。

このコラムでは、議論のポイントを整理したうえで、使う側として何に気をつければいいのかを詳しく考えていきます。

画像生成AIのしくみ(かんたん版)

画像生成AIは、大量の画像と、その画像を説明する文章をセットで学習しています。「夕焼け」「海」「猫」といった言葉と、それに対応する画像の特徴を結びつけて覚えているのです。

そして、「夕焼けの海辺に座る猫」と指示されると、学習した特徴を組み合わせて、新しい画像をゼロから生成します。既存の画像を切り貼りしているわけではありません。

ただ、この「学習」に何の画像が使われたのか、というところが、議論の大きなポイントになっています。

なぜクリエイターは不安を感じるのか

1. 学習データの問題

「自分の作品が、許可なくAIの学習に使われているのではないか」という懸念です。何年もかけて磨いてきた技術や表現が、知らないうちにAIに取り込まれているかもしれない。そう感じるのは自然なことです。

2. 画風のまね

AIを使えば、特定の作家の画風をまねた画像を、誰でも簡単につくれてしまいます。作家にとって画風は、長い時間をかけて築いてきた「自分らしさ」そのものです。

3. なりすましや誤解

AIでつくった画像が、あたかもその作家が描いたかのように出回ってしまうこともあります。作家の評判に影響する可能性もあります。

4. 仕事への影響

イラストやデザインの依頼が、AIに置きかわるのではないかという心配です。特に、比較的安い価格で受けていた仕事から影響を受けやすいと言われています。

どれも、作品づくりに人生をかけてきた人にとっては切実な問題です。

日本の著作権の考え方(基本)

画像生成AIと著作権の関係は、国によって考え方が違い、議論も続いています。ここでは、日本の一般的な考え方の基本を紹介します。正確な判断が必要な場合は、文化庁の公式情報や専門家に確認してください。

「学習」と「生成・利用」は分けて考える

文化庁が2024年3月に公表した「AIと著作権に関する考え方について」では、AIと著作権の関係を「AIの開発・学習の段階」と「生成・利用の段階」に分けて整理しています。

  • 学習の段階:日本の著作権法には、一定の条件のもとで、著作物をAIの学習に使えるとする規定があります。ただし、どんな場合でも自由というわけではなく、例外もあります
  • 生成・利用の段階:AIでつくった画像が、既存の作品と似ていて、その作品をもとにしていると認められる場合は、著作権の侵害になる可能性があります。これは、人が手で描いた場合と同じ考え方です

つまり、AIでつくったからといって、何でも自由に使えるわけではないということです。

使う側が守りたい7つのマナー

画像生成AIを使うこと自体が悪いわけではありません。ただ、使う側にも配慮が求められます。

マナー1:実在の作家の名前で画風をまねない

「〇〇さん風のイラスト」と、実在する作家の名前を指定して画像をつくり、公開するのは避けましょう。作家への敬意を欠くだけでなく、トラブルの原因にもなります。

マナー2:既存のキャラクターに似せない

アニメやゲーム、漫画のキャラクターにそっくりな画像をつくって公開・販売すると、権利の問題になる可能性があります。

マナー3:実在の人物の画像を勝手につくらない

有名人や身近な人の顔を使った画像を、本人の許可なくつくったり公開したりするのはやめましょう。肖像権やプライバシーの問題になるだけでなく、人を深く傷つけることがあります。

マナー4:AIでつくったことを隠さない

コンテストやSNSに投稿するときは、AIを使ったことを明記するのが誠実です。AI作品の応募を禁止しているコンテストもあるので、必ずルールを確認しましょう。

マナー5:手描きと偽らない

AIでつくった画像を、自分が手で描いたように見せて販売したり、仕事として納品したりするのは、相手をだますことになります。

マナー6:商用利用は規約を確認する

つくった画像を仕事や販売に使う場合は、そのAIサービスの利用規約を必ず確認してください。サービスによって、商用利用の条件が違います。

マナー7:既存の作品を読み込ませて加工しない

他人の作品を画像生成AIに読み込ませて、少し変えた画像をつくって公開するのは、元の作品の権利を侵害する可能性が高い使い方です。

投稿・利用する前のチェックリスト

AIでつくった画像を公開したり使ったりする前に、次の点を確認しましょう。

  1. 実在の作家の名前や、作品名を指示に入れていない?
  2. 既存のキャラクターや作品に似すぎていない?
  3. 実在の人物に似ていない?
  4. 使っているAIサービスの規約で、この使い方は認められている?
  5. 投稿先(コンテスト、SNS、販売サイト)のルールに合っている?
  6. AIを使ったことを、必要に応じて明記している?

AIを上手に取り入れるクリエイターも

実は、AIを上手に取り入れているクリエイターもいます。

アイデア出しに使う

構図や配色のアイデアをAIにたくさん出してもらい、その中からヒントを得て、自分の手で描く。AIは「下書き」ではなく「発想のきっかけ」として使われています。

時間のかかる作業を効率化する

背景の資料集め、色のバリエーションの検討など、作品の本質ではないけれど時間のかかる作業をAIで効率化し、本当に描きたい部分に時間を使うという使い方です。

自分の作品だけを学習させる

自分の過去の作品だけをAIに学習させて、制作のサポートに使うクリエイターもいます。自分の画風を守りながら、作業を速くすることができます。

AIは、人の創造性を「置きかえる」ものではなく、使い方しだいで「広げる」道具にもなり得ます。

「AIで描けるなら、人が描く意味は?」

こう考える人もいるかもしれません。でも、写真が登場したとき、絵画はなくなったでしょうか。むしろ、写真にはできない表現を求めて、絵画は新しい方向に進化しました。

人が描く絵には、その人の経験、感情、こだわり、物語が込められています。「この人が描いたから好き」という気持ちは、AIには置きかえられません。AIの時代だからこそ、人の手による作品の価値が見直されていくのかもしれません。

よくある質問

Q. AIでつくった画像をブログに使ってもいい?

AIサービスの規約で認められていれば、使うことはできます。ただし、既存の作品やキャラクターに似ていないか、確認してから使いましょう。

Q. AIでつくった画像に著作権はある?

AIが自動でつくった画像に著作権が認められるかは、人がどれだけ創作に関わったかによって判断が分かれるとされています。詳しくは文化庁の情報を確認してください。

Q. クリエイターを応援するには?

気に入った作品があれば、作家から直接買ったり、仕事を依頼したり、SNSで紹介したりすることが、一番の応援になります。

まとめ

画像生成AIをめぐるルールづくりは、まだ発展途上です。だからこそ、使う一人ひとりの意識が大切になります。

  • 実在の作家・キャラクター・人物をまねない
  • AIを使ったことを隠さない
  • 規約とルールを確認する

作品をつくってきた人への敬意を忘れずに、便利な道具を、誰も傷つけない形で使っていきたいですね。

参考

#画像生成AI#著作権#クリエイター