【ニュース】Anthropicが「Claude Haiku 5.5」を発表 — 料金は前モデルの10分の1、性能は大幅アップ
Anthropicは2026年10月7日、小型で高速なAIモデル「Claude Haiku 5.5(クロード ハイク 5.5)」を発表しました。同社は「これまでで最も安く、速く、高性能な小型モデル」と説明しています。
小型モデルは、ニュースで大きく取り上げられる最上位モデルに比べると地味に見えます。ですが実は、私たちが毎日使うアプリやサービスの裏側で一番たくさん働いているのが、こうした小型モデルです。この記事では、Haiku 5.5で何が変わったのかを、料金・性能・使い道の3つの視点からくわしく解説します。
3行でわかる今回のニュース
- Claudeで一番小さく速いモデル「Haiku」の最新版が登場
- API料金は、入力・出力ともに前モデル(Haiku 4.5)の10分の1の単価。平均コストは約75%減
- パソコン操作の性能テストで、前モデルの15.7%から72.4%へと大きく向上
Claudeのモデルの種類をおさらい
Claudeには、大きさ(=性能と料金)の違う3つのシリーズがあります。
| シリーズ | 位置づけ | 向いている作業 |
|---|---|---|
| Opus(オーパス) | 最上位 | 難しい調査、複雑なプログラミング、長時間の作業 |
| Sonnet(ソネット) | 中間 | 日常的な仕事、文章作成、プログラミング全般 |
| Haiku(ハイク) | 小型 | 大量の要約・分類、リアルタイムの応答、補助作業 |
名前の由来は詩の形式です。長い「オーパス(大作)」、中くらいの「ソネット(14行詩)」、短い「俳句」というように、大きさの順番を表しています。
料金はどれくらい安くなった?
公式発表によると、API料金(100万トークンあたり)は次のとおりです。トークンとは、AIが文章を処理するときの単位で、日本語ではおおよそ1文字が1トークン前後になります。
| 項目 | Haiku 5.5(10万トークン以下) | Haiku 5.5(10万トークン超) | Haiku 4.5 |
|---|---|---|---|
| 入力 | 0.10ドル | 0.50ドル | 1.00ドル |
| 出力 | 0.50ドル | 2.50ドル | 5.00ドル |
| キャッシュ読み込み | 0.01ドル | 0.05ドル | 0.10ドル |
| キャッシュ書き込み | 0.125ドル | 0.625ドル | 1.25ドル |
ポイントは、プロンプト(AIへの入力)の長さで料金が変わる仕組みになったことです。10万トークン以下の短めの処理なら、前モデルの10分の1の単価で使えます。Anthropicは、実際の使われ方を平均するとコストは約75%下がるとしています。
あわせて発表された値下げ
- 中間モデル「Sonnet 5.5」のキャッシュ読み込み料金を半額(100万トークンあたり0.10ドル)に。AIエージェントの用途では、Sonnet 5.5のコストが約20%下がるとしています
- 有料プラン「Max」「Team」の利用者に、毎月のAPIクレジットを付与(Max 5xは100ドル、Max 20xは200ドル、Teamは最大500ドルを共有)
性能はどれくらい上がった?
Anthropicが公開したテスト結果の一部をまとめました。比較のため、OpenAIの小型モデル「GPT-6 Luna」と、自社の中間モデル「Sonnet 5.5」の数字も載っています。
| テスト | 内容 | Haiku 5.5 | Haiku 4.5 | GPT-6 Luna | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|---|---|---|
| OSWorld 2.1 | パソコン操作 | 72.4% | 15.7% | 48.9% | 83.9% |
| Humanity's Last Exam(ツールなし) | 超難問の知識・推論 | 45.9% | 10.2% | 未公表 | 56.9% |
| Terminal-Bench 4.0 | コマンド操作 | 39.2% | 0.0% | 16.4% | 70.6% |
| GDPval-AA v2.1 | 実務作業の質(Elo) | 1620 | 735 | 1437 | 1840 |
特に目立つのは、パソコン操作の能力(OSWorld)です。前モデルからおよそ4.6倍になり、同クラスのGPT-6 Lunaも上回っています。小型モデルでも、画面を見てボタンを押したり入力したりする作業がこなせるようになってきたことがわかります。
ただし、これらはAnthropic自身が公表した数字です。テストの条件によって結果は変わるので、参考程度に見ておくのがよいでしょう。
新しくなった機能
「どれだけ考えるか」を調整できる
Haiku系のモデルとして初めて、effort(努力量)の設定に対応しました。簡単な作業では考える量を減らして速く安く、難しい作業では考える量を増やして正確に、という使い分けができます。
コンピューター操作・ブラウザ操作
Haiku 5.5はコンピューター操作に対応しています。開発者向けのPython・TypeScriptのSDK(開発キット)では、コンピューター操作とブラウザ操作のベータ版サポートも追加されました。
安全性
Anthropicによると、望ましくない行動に関する評価では前モデルより問題が少なかったとのことです。サイバーセキュリティ関連の安全策は前モデルより厳しく、上位のSonnet 5.5よりはゆるい設定になっています。
どこで使える?
- AnthropicのAPI(モデル名:
claude-haiku-5-5) - Amazon Web Services(AWS)
- Google Cloud
- Microsoft Azure
主要な3つのクラウドすべてで使えるため、企業が自社のシステムに組み込みやすくなっています。
「大きなAI」と「小さなAI」のチームプレー
Anthropicは、Haiku 5.5を上位モデルの「サブエージェント(助手)」として使う方法も紹介しています。
たとえば、たくさんの資料を調べてレポートを書く作業なら、次のような分担が考えられます。
- Opus(上位モデル)が全体の計画を立てる
- Haiku(小型モデル)が何十もの資料を手分けして読み、要点をまとめる
- Opusがまとめを受け取って、最終的なレポートを書く
人間の職場で、リーダーが方針を決め、メンバーが手分けして作業するのと同じです。全部を高いモデルでやるより、ずっと速く安く済みます。
私たちにどう関係する?
一般の利用者
Haikuを直接選ぶ機会は少ないかもしれません。ですが、AIチャットボットを使ったサポート窓口、メールの自動分類、アプリ内の要約機能など、裏側で小型モデルが使われているサービスは増えています。小型モデルが賢く安くなれば、こうしたサービスの質も上がっていきます。
中小企業・個人事業主
AIを業務に取り入れるときの一番の壁は、コストです。たとえば「毎日届く数百件の問い合わせを分類する」「商品レビューを要約する」といった作業を、以前よりずっと安く自動化できるようになります。
開発者
料金が下がったことで、これまでコストの面であきらめていた機能も試しやすくなりました。まずは簡単な作業をHaikuに任せ、難しい作業だけSonnetやOpusに回す、という設計がしやすくなっています。
よくある質問
Q. Claudeのアプリ(claude.ai)でも使える?
今回の発表ページでは、APIと各クラウドでの提供が案内されています。アプリでの扱いは、Claudeのアプリ内のモデル選択画面で確認してください。
Q. Haiku 4.5はもう使えなくなる?
発表では、Haiku 4.5の提供終了については触れられていません。
Q. 結局、どのモデルを使えばいい?
迷ったら、まずは中間のSonnetで試し、「もっと速く・安くしたい」作業をHaikuに、「もっと正確にしたい」作業をOpusに回すのがおすすめです。
編集部の見方
AIのニュースでは「最強のモデル」に注目が集まりがちですが、AIが社会に広がるうえで本当に大切なのは、「十分に賢くて、とても安い」モデルです。Haiku 5.5は、前モデルから性能を大きく伸ばし、上位モデルとの差を縮めながら、料金は大幅に下がりました。
「AIを使うと高くつく」という時代は、確実に終わりに近づいています。これから数か月で、Haiku 5.5のような小型モデルを使った新しいサービスが次々と登場するはずです。