【ニュース】アメリカの住民投票で「AIデータセンター反対」が圧勝 — 41件中40件で建設を制限する側が勝利
2026年11月3日に行われたアメリカの中間選挙にあわせて、各地でAIデータセンターの建設をめぐる住民投票が行われました。選挙情報サイトのBallotpediaによると、10州で行われた41件の地域の住民投票のうち、40件で建設を制限する側の意見が勝ったといいます。
AIの開発には、巨大なデータセンターが欠かせません。そのデータセンターが、なぜこれほど住民に嫌われているのでしょうか。この記事では、投票の結果と、その背景を詳しく解説します。
3行でわかる今回のニュース
- 11月3日、アメリカ10州・41件のデータセンター関連の住民投票が行われた
- 41件中40件で、建設を制限・反対する側の意見が勝利(Ballotpedia)
- オハイオ州では少なくとも14の自治体が禁止や規制を可決
投票の結果
全体
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 住民投票の数 | 10州・41件(地域の投票) |
| 制限する側が勝った件数 | 40件 |
| 例外 | ノースダコタ州ハーウッド(審査の義務づけを否決) |
Ballotpediaによると、データセンターの開発を制限したり、反対の意思を示したりする27件の提案が可決されました。
なお、集計の時期によって数字は報道ごとに少しずつ違います。別の報道では、結果が確定した38件のうち37件で開発の制限・阻止が選ばれたとされています。
特に目立った地域
| 地域 | 結果 |
|---|---|
| オハイオ州 | 少なくとも14の自治体で、データセンターの禁止や規制を可決 |
| オハイオ州ウィルミントン | データセンター計画のための用途変更を、4つの住民投票で約80%が否決 |
| メイン州ウェルズ | 80%以上が、さかのぼって適用する180日間の建設停止を承認 |
どんな提案があった?
- データセンターの全面禁止(17件)
- 一定以上の電力を使うデータセンターの禁止(例:カンザス州の、25メガワットを超える施設の禁止)
- データセンターへの支持を表明する拘束力のない提案(イリノイ州、ニュージャージー州、オハイオ州の7件)
12月にも、アーカンソー州やノースダコタ州で、データセンターに関する住民投票が予定されています。
なぜ住民は反対するの?
AIデータセンターが反対される主な理由は、次のようなものです。
1. 電気料金への影響
AIのデータセンターは、膨大な電力を使います。大きな施設ひとつで、小さな町全体に匹敵する電力を使うこともあります。電力の需要が急に増えると、地域の電気料金が上がるのではないかという心配があります。
2. 水の使用
データセンターのコンピューターを冷やすために、大量の水を使う施設もあります。水不足が心配な地域では、大きな問題になります。
3. 騒音や景観
巨大な建物や冷却装置の騒音が、住宅地の環境を変えてしまうという不満もあります。
4. 地元への恩恵が少ない
データセンターは建物は巨大でも、働く人の数は多くありません。「負担は地元に、恩恵は遠くの企業に」という不公平感が、反対の大きな理由になっています。
AIの未来にどう影響する?
データセンターの建設が難しくなる
AI企業は、より高性能なAIを開発・提供するために、データセンターを急ピッチで増やしています。住民の反対で建設が進まなければ、AIの開発や提供のペースに影響する可能性があります。
「地域との共生」が求められる
今後、AI企業には、電気料金を上げない工夫、水を使わない冷却、地元への雇用や税収の還元など、地域と共生するための取り組みがこれまで以上に求められるでしょう。
日本は関係ある?
日本でも、AIの普及にともなってデータセンターの建設が各地で進んでいます。電力の確保や、地域の理解をどう得るかは、日本にとっても他人事ではありません。
AIデータセンターと地域社会の関係については、コラム「AIデータセンターはなぜ嫌われる?」で詳しく考えています。
よくある質問
Q. 住民投票で決まったら、もう建てられない?
内容は地域によって異なります。全面禁止のものもあれば、一定規模以上を制限するもの、拘束力のない意思表明もあります。
Q. AIを使うと電気を使うの?
AIの学習や回答には、データセンターの大量の計算が必要で、そのために電力を使います。
Q. すべての人が反対しているの?
支持を表明する提案もありましたが、今回の投票では制限する側が大きく上回りました。
編集部の見方
AIの進化は、画面の中だけの話ではありません。それを支えるのは、電気と水と土地を使う巨大な物理的な施設です。今回の投票結果は、AIの恩恵と負担を誰が受けるのかという問題が、住民にとって身近な関心事になっていることを示しています。
AIが社会に受け入れられるためには、性能の高さだけでなく、地域の暮らしとどう折り合いをつけるかが問われる時代に入ったと言えるでしょう。