プログラミング未経験でもできる!AIで業務アプリを作る入門 — 作りたいものの伝え方から、動かすまでの手順
JR九州では、プログラミングの経験がない社員が、生成AIの助けを借りて業務アプリを2本作ったと報じられています(ニュース記事はこちら)。AIがプログラムの9割以上を書き、2〜3カ月で完成させたといいます。
「自分にもできるの?」と思った人のために、この記事では、プログラミング未経験の人がAIで小さな業務アプリを作るための入門ガイドをお届けします。
まず知っておきたいこと
AIが書いてくれる。でも「考える」のはあなた
AIはプログラムを書いてくれますが、次のことはあなたが担います。
- 何を作るかを決める
- どう動けばいいかを説明する
- できたものが正しく動くかを確かめる
- うまくいかないところを伝えて直してもらう
つまり、あなたの役割は「プログラマー」ではなく「現場をよく知る依頼主」です。
最初は「小さく」作る
いきなり会社全体で使う大きなシステムを作ろうとすると、ほぼ確実に挫折します。最初は、自分やチームの困りごとを1つ解決する小さなツールから始めましょう。
最初に作るのにおすすめのアプリ
| アプリの例 | 内容 |
|---|---|
| 計算ツール | 見積もり金額や、交通費を自動で計算する |
| データの見える化 | 表計算のデータを読み込んで、グラフで表示する |
| チェックリスト | 毎日の点検項目を入力・記録する |
| 簡単な予約表 | 会議室や備品の予約を管理する |
| 文章の整形ツール | 決まった形式の報告文を自動で作る |
選ぶポイント:「毎日・毎週やっている面倒な作業」で、「間違えても大きな問題にならない」ものがおすすめです。
作り方の4つの方法
AIでアプリを作る方法は、いくつかあります。
| 方法 | 難しさ | 特徴 |
|---|---|---|
| チャットAIの画面上で作る | やさしい | ClaudeのArtifactsのように、会話の横に簡単なアプリが表示される。その場で試せる |
| 表計算ソフト+スクリプト | ふつう | GoogleスプレッドシートのApps Scriptなどを、AIに書いてもらう |
| Pythonなどで作る | ややむずかしい | JR九州の事例のように、Streamlitなどの部品を使ってWebアプリを作る |
| AIのプログラミング支援ツール | ややむずかしい | Claude CodeやCodexなど、AIがファイルを作りながら開発を進める |
最初のおすすめは、チャットAIの画面上で作る方法です。インストールなしで、その場で動くものを見ながら作れます。
作る手順(5ステップ)
ステップ1:作りたいものを書き出す
まず、次の4つを紙やメモに書き出しましょう。
- 誰が使うのか
- 何を入力するのか
- 何が出てくればいいのか
- 今はどうやってやっているのか
ステップ2:AIに伝える
書き出した内容を、そのままAIに伝えます。
営業チームで使う、見積もり計算ツールを作りたいです。
・使う人:営業担当(パソコンが得意ではない人も)
・入力:商品の種類(A・B・Cの3種類)、数量、割引率
・出力:小計、消費税(10%)、合計金額
・今は:電卓で計算して手で書いているので、間違いが多い
ボタンを押すと計算結果が表示される、シンプルな画面にしてください。
ステップ3:動かして確かめる
AIが作ったものを、実際に動かしてみましょう。いくつかの数字で試して、正しく計算されるかを確かめます。電卓での計算結果と比べるのが確実です。
ステップ4:直してもらう
うまくいかないところや、改善したいところを、具体的に伝えます。
数量に0を入れるとエラーになります。0のときは「数量を入力してください」と表示してください。
合計金額を大きく、太字で表示してください。
ポイント:一度にたくさん頼むより、1つずつ直していくほうが、うまくいきやすいです。
ステップ5:使ってもらって改善する
実際に使う人に試してもらい、意見をもらいましょう。「ここが使いにくい」という声を、またAIに伝えて改善します。
つまずいたときの対処法
| 困ったこと | 対処法 |
|---|---|
| エラーが出た | エラーの表示をそのままAIに貼り付けて「このエラーを直して」と頼む |
| 何度直しても動かない | 「最初から作り直して」と頼むか、作りたいものをもっとシンプルにする |
| AIの説明がわからない | 「プログラミング未経験者にもわかるように説明して」と頼む |
| 機能を増やしたら壊れた | 動いていたときのものを保存しておき、そこからやり直す |
大事な習慣:うまく動いたら、その時点のものを必ず保存しておきましょう。
安全に使うための注意点
1. 会社のルールを確認する
作ったアプリを仕事で使う場合は、会社のルールや、IT担当者の許可を確認しましょう。JR九州も、生成AIの利用ガイドラインを作ったうえで活用を進めています。
2. 大事なデータで試さない
作ったアプリを、いきなり本物の顧客データや大事なファイルで使うのは避けましょう。まずは架空のデータで試します。
3. 個人情報や機密情報を扱うアプリは慎重に
顧客情報やお金を扱うアプリは、セキュリティの専門家のチェックが必要です。最初は、こうした情報を扱わないアプリから始めましょう。
4. 「誰が直すか」を決めておく
アプリは、使っているうちに直したくなるものです。作った人が異動したら誰が直すのか、引き継ぎの方法も考えておきましょう。
よくある質問
Q. 本当にプログラミングの知識はいらない?
一から書く知識はなくても始められます。ただ、使ううちに少しずつ仕組みがわかってくると、AIへの頼み方も上手になります。
Q. どのAIを使えばいい?
ChatGPT、Claude、Geminiなど、主なチャットAIはどれもプログラムを書けます。画面上で試せるClaudeのArtifactsのような機能があると、初心者には便利です。
Q. 有料プランが必要?
簡単なツールなら、無料プランでも作れます。本格的にプログラミング支援ツールを使う場合は、有料プランが必要なことがあります。
まとめ
- AIがプログラムを書き、あなたは「何を作るか考え、確かめる」役
- 最初は小さな困りごとを解決するツールから
- 「誰が・何を入力・何が出る・今どうしているか」を書き出して伝える
- 1つずつ直し、動いたら保存する
- 会社のルールを守り、大事なデータで試さない
「こんな道具があったら便利なのに」という小さな思いつきが、AIの助けで形になる時代です。まずは、身近な面倒な作業を1つ選んで、AIに相談してみてください。働き方への影響は、コラム「「非エンジニアがアプリを作る」時代、仕事はどう変わる?」でも考えています。