【ニュース】JR九州、プログラミング未経験の社員が生成AIで業務アプリを内製 — コードの9割以上をGeminiが書き、2〜3カ月で完成
JR九州で、プログラミングの経験がない社員が、生成AIを使って業務アプリを自分たちで作っていることが明らかになりました。IT系メディアのIT Leadersが2026年11月4日に報じたほか、Googleも顧客事例として紹介しています。
GoogleのAI「Gemini」がプログラムの9割以上を書き、車両データを見やすくするアプリと、勤務シフトを自動で作るアプリを、2〜3カ月で完成させたといいます。「AIで誰でもアプリが作れる時代」は、どこまで来ているのでしょうか。
3行でわかる今回のニュース
- JR九州の、エンジニア経験のない社員が生成AIで業務アプリを2本開発
- Geminiがコードの9割以上を書き、2〜3カ月で完成
- 2025年9月から始めたGoogle Workspace with Geminiの試験導入が、約400アカウントの本格運用に
どんなアプリを作ったの?
報道によると、運輸部企画課の担当者が、次の2つのアプリを作りました。
| アプリ | 内容 |
|---|---|
| 車両データの可視化アプリ | 車両に関するデータを、グラフなどで見やすく表示する |
| 勤務シフトの自動作成アプリ | 勤務シフトを自動で組み立てる |
どちらも、現場で毎日のように必要になる業務改善のためのアプリです。
どうやって作ったの?
使った道具
アプリは、Pythonというプログラミング言語でWebアプリを手軽に作れる部品「Streamlit(ストリームリット)」を使って作られました。
作り方の流れ
開発は、次のような流れをくり返して進められました。
- やりたいことを、ふだんの言葉でAIに伝える
- AIが書いたプログラムを動かして確かめる
- うまくいかないところや、改善したいところを、またAIに頼む
つまり、担当者はプログラムを一から書くのではなく、「何を作りたいか」をAIに伝え、出来上がったものを確かめて改善を頼む役割を担っていたのです。
なぜ「非エンジニアの内製」が注目されるの?
現場のことは現場が一番わかっている
業務アプリを外部の会社に頼むと、こんな問題が起きがちです。
- 現場の細かい事情が伝わらず、使いにくいアプリになる
- ちょっとした修正にも、時間とお金がかかる
- 完成までに何カ月、何年もかかる
現場の担当者が自分で作れれば、本当に必要な機能を、すぐに形にできます。
AIが「プログラミングの壁」を下げた
これまで、アプリを作るにはプログラミングの知識が欠かせませんでした。生成AIがプログラムを書いてくれるようになったことで、「何を作りたいかをはっきり説明できる人」なら、アプリを作れる可能性が出てきました。
JR九州の生成AIへの取り組み
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年5月 | 生成AIの利用ガイドラインを策定 |
| 2025年9月 | Google Workspace with Geminiの試験導入(PoC)を開始 |
| その後 | 約400アカウントで本格運用 |
早い段階で利用のルールを整えてから活用を広げてきたことがわかります。
ほかの会社が学べること
1. まずルールをつくる
JR九州は、2023年に生成AIのガイドラインを作ってから活用を進めています。社員が安心してAIを使えるよう、何をしていいか・いけないかをはっきりさせることが第一歩です。
2. 小さな業務改善から始める
いきなり大きなシステムを作るのではなく、現場の困りごとを解決する小さなアプリから始めたことが成功のポイントと言えます。
3. 「確かめる人」は必要
AIがプログラムの9割以上を書いたとはいえ、動作を確かめ、改善を頼むのは人です。特に、安全に関わる業務やお客さまの情報を扱うアプリでは、専門家のチェックも欠かせません。
注意したいこと
開発期間や「9割以上」といった数字は、JR九州とGoogle側が公表したものです。また、AIで作ったアプリを業務で使う場合は、セキュリティや保守(誰が直し続けるのか)も考えておく必要があります。
私たちにどう関係する?
「プログラミングができないから、アプリは作れない」という時代は、終わりつつあります。自分の仕事で「こんな道具があったら便利なのに」と思うことがあれば、AIの助けを借りて形にできるかもしれません。
AIでアプリを作る方法は、「プログラミング未経験でもできる!AIで業務アプリを作る入門」で紹介しています。働き方への影響は、コラム「「非エンジニアがアプリを作る」時代、仕事はどう変わる?」でも考えています。
よくある質問
Q. 本当にプログラミングの知識はいらない?
一から書く知識は不要になりつつありますが、AIが書いたものが正しく動くかを確かめる力や、やりたいことを順序立てて説明する力は必要です。
Q. どんなAIを使った?
GoogleのGemini(Google Workspace with Gemini)が使われたと報じられています。
Q. 個人でもできる?
小規模なツールなら、個人でもAIの助けを借りて作ることができます。
編集部の見方
この事例が示しているのは、AI時代に求められる力が「プログラムを書く力」から「何を作るべきかを考え、AIに伝え、確かめる力」へと移りつつあることです。
一方で、誰でもアプリを作れるようになると、会社の中に管理されていないアプリが増えるという新しい課題も生まれます。JR九州のように、ルールづくりと活用をセットで進めることが、AI時代の「内製」を成功させるカギになりそうです。